車の個人売買は「中間マージンがなくて得」と思われがちですが、名義変更トラブル・代金未払い・故障クレームなど、深刻なリスクが潜んでいます。
結論として、車の売却に慣れていない方には個人売買よりも買取業者の利用をおすすめします。個人売買は手続き・書類・トラブル対応をすべて自分で行う必要があり、金銭的にも時間的にもコストがかかるケースが少なくありません。
この記事では、車の個人売買で実際に起こりやすいトラブル事例7パターンと、安全に車を売るための具体的な対策を解説します。
個人売買は業者を介さない分コストが下がる可能性がありますが、その反面、以下のようなトラブルが起こりやすくなります。
個人売買で最も深刻なトラブルのひとつです。買い手が名義変更を怠ると、売却後も自動車税の請求や交通違反の通知が売り手に届き続けます。さらに、名義変更前に買い手が事故を起こした場合、契約内容によっては売り手側に責任が及ぶ可能性も否定できません。
対策として、契約書に名義変更の期限(引き渡しから15日以内など)と、違反時の違約金を明記しておくことが有効です。
車を引き渡した後に買い手からの入金がない、あるいは分割払いの途中で支払いが止まるケースです。個人間取引ではカーローンが使えないことが多く、まとまった金額を用意できない買い手が分割を希望するケースがありますが、途中で連絡が取れなくなるリスクがあります。
対策として、代金の全額受領と車の引き渡しを同時に行うのが原則です。分割払いや先日付の支払い約束は避けてください。
引き渡し後に「エンジンの調子が悪い」「エアコンが効かない」などのクレームが入るケースです。2020年4月の民法改正で「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変わり、売主の責任範囲が従来より広くなりました。
買い手は契約不適合を知ってから1年以内であれば、修理請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約解除を求められる可能性があります。
対策として、契約書に車の状態を詳細に記載し、「現状渡し」の条件と契約不適合責任の範囲を明記しておくことが重要です。ただし、故意に欠陥を隠した場合は免責条項があっても無効となりえます。
口約束で金額を決めた後に「やっぱり高すぎる」と値引きを要求されたり、逆に買い手から「相場より安く買い叩かれた」と後からクレームが入るケースがあります。
対策として、売買金額・支払い方法・支払い期日を書面で明記し、双方が署名・捺印した契約書を保管してください。
4月1日時点の名義人に自動車税が課税されるため、名義変更のタイミングによっては税金の負担者をめぐって揉めることがあります。また、自賠責保険の名義変更や任意保険の切り替えが適切に行われないと、事故時に保険が使えない可能性があります。
対策として、自動車税の精算方法と保険の切り替え時期を事前に取り決め、契約書に記載しておきましょう。
車検証・自賠責保険証・納税証明書などの書類が揃わないと名義変更ができません。売り手が書類を紛失していた場合、再発行の手間と費用が発生します。
対策として、取引前に必要書類がすべて揃っているか確認してください。紛失している場合の対応は「車の書類を紛失したときの対処法」で詳しく解説しています。
買い手の立場では、個人売買で購入した車が実は盗難車だったり、走行距離メーターが改ざんされていたりするリスクがあります。業者を通さないため、第三者チェックが入りません。
対策として、車検証の名義と売り手の身分証明書が一致しているか確認し、整備記録簿で走行距離の整合性をチェックしてください。
個人売買と買取業者、それぞれの特徴を比較します。
| 比較項目 | 個人売買 | 買取業者 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 条件次第で高くなる可能性あり | 業者の利益分が差し引かれる |
| 手続き | すべて自分で対応 | 業者が代行(名義変更含む) |
| 買い手探し | 自力で探す必要あり | 不要 |
| トラブル対応 | 自己責任で解決 | 業者が窓口となって対応 |
| 入金の確実性 | 未払いリスクあり | 契約後に確実に入金 |
| 名義変更 | 相手任せになりがち | 業者が確実に実施 |
| 保証・アフターフォロー | 原則なし | 業者によっては対応あり |
| 売却までの期間 | 買い手が見つかるまで不確定 | 査定から数日〜1週間程度 |
| 書類の知識 | 自分で調べて用意 | 業者がサポート |
価格面だけを見れば個人売買が有利に見えるケースもありますが、手続きの手間・トラブルリスク・時間コストを含めた総合判断では、買取業者を利用する方が安心です。特に売却が初めての方は、まず買取業者の査定額を確認してから判断しても遅くありません。
買取業者を利用する場合のトラブル対策については「車買取のトラブル事例と対処法」もあわせてご覧ください。
それでも個人売買を選ぶ場合は、以下の3つの対策を徹底してください。
口約束は絶対に避けてください。以下の項目を最低限記載した契約書を作成し、双方が署名・捺印のうえ各1部ずつ保管します。
引き渡し前に車の外装・内装・メーター・傷や凹みなどを写真で記録し、売買契約書の添付資料として残します。「引き渡し時にはなかった傷がある」といった水掛け論を防ぐ効果があります。
先に車を渡してしまうと、代金回収の手段が限られます。必ず全額入金の確認後に車と書類を引き渡すようにしてください。銀行振込の場合は着金確認を済ませてから引き渡しましょう。
個人売買でトラブルが起きたとき、感情的にならず書面で対応するのが原則です。
「契約書に記載の通り、車の引き渡しから○日が経過しておりますが、名義変更手続きが完了しておりません。○月○日までに手続きを完了し、新しい車検証のコピーをご送付ください。期限までに対応いただけない場合は、契約書第○条に基づき違約金の請求を検討せざるを得ません。」
「○月○日が支払い期限でしたが、現時点で入金が確認できておりません。○月○日までにお支払いいただけない場合は、契約の解除および車両の返還を求めます。」
「ご提案の内容を確認したいので、いったん持ち帰らせてください。○日以内にお返事します。」
書面でのやりとりが難しい場合や、相手が応じない場合は、内容証明郵便の送付や弁護士への相談を検討してください。法的な判断が必要な場面では、必ず専門家に相談することをおすすめします。
買取業者との取引でキャンセルが必要になった場合の対応は「車買取のキャンセルはできる?」で解説しています。
上記に当てはまる方は、まず複数の買取業者に査定を依頼し、個人売買の想定額と比較してから判断するのが合理的です。
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