親名義の車を売る方法|ケース別の手続き・必要書類・注意点を解説【2026年版】

親名義の車を売る方法|ケース別の手続き・必要書類・注意点を解説

親名義の車を売りたいけれど、名義が違うから売れないのでは?と不安に感じている方は多いです。

結論として、親名義の車は適切な手続きを踏めば売却できます。親が健在で協力してくれるなら、委任状と譲渡証明書を用意すれば代理で売却可能です。親が亡くなっている場合は、相続手続きを経て名義変更したうえで売却します。

この記事では、「親が健在な場合」「親が亡くなった場合」「親が認知症の場合」のケース別に、手続きの流れ・必要書類・注意点を解説します。

結論:親名義の車は売却できる(ただしケースで手続きが異なる)

親名義の車であっても、正しい手続きを踏めば売却は可能です。ただし、親の状況によって必要な手続きが大きく異なります。

親の状況売却方法手続きの難易度
親が健在で同席できる通常の売却とほぼ同じ簡単
親が健在だが同席できない委任状+譲渡証明書で代理売却やや手間がかかる
親が認知症など判断能力が低下成年後見制度を利用時間と手間がかかる
親が亡くなっている相続手続き後に名義変更して売却書類が多い

いずれのケースでも、まずは買取業者に相談するのがおすすめです。名義が異なるケースに対応している業者も多く、必要書類の案内や手続きの代行をしてくれる場合もあります。

あなたのケースを判定する(かんたんフローチャート)

「自分はどのケースに当てはまるのか?」を以下のフローで確認してみてください。

親名義の車を売りたい

親はご健在ですか?
いいえ(亡くなっている)
ケース2:相続手続きへ
遺産分割協議 → 名義変更 → 売却
はい
親は判断能力がありますか?
いいえ(認知症等)
ケース3:成年後見制度へ
家庭裁判所に申立て → 後見人選任 → 売却
はい
親が売却に同席できますか?
はい(同席できる)
ケース1-A:通常売却
親が直接署名・押印して売却
いいえ(同席できない)
ケース1-B:委任状で代理売却
委任状+譲渡証明書を準備して代理

ケース1:親が健在な場合の売却方法

親が健在な場合は、比較的スムーズに売却できます。親が売却に同席できるかどうかで手続きが少し変わります。

パターンA:親が売却に同席できる場合

親本人が買取業者との手続きに同席できるなら、通常の車売却とほぼ同じ流れです。

1買取業者に査定を依頼する:複数社に依頼して査定額を比較します。

2売却に必要な書類を準備する:車検証、自賠責保険証、自動車税納税証明書、リサイクル券、親の印鑑証明書と実印を用意します。

3売買契約を締結する:親本人が契約書に署名・押印します。売却代金は名義人である親の口座に振り込まれるのが一般的です。

このパターンでは委任状は不要です。親が直接手続きするため、もっともシンプルな方法です。

手続き事例:親が同席して売却したAさんのケース

Aさん(30代・東京都)は、実家に置いてある父親名義のコンパクトカー(2018年式・走行距離5万km台)を売却しました。父親が元気だったため、週末に一緒に買取店を訪問。査定当日に父親が契約書に署名・押印し、査定依頼から入金まで約10日間で完了しました。事前に車検証と印鑑証明書を用意しておいたことで、当日の手続きは1時間程度で済んだそうです。

パターンB:親が同席できない場合(代理売却)

親が遠方に住んでいる、高齢で外出が困難など、同席できない場合は代理人として売却します。この場合、親から委任状と譲渡証明書をもらう必要があります。

1親から委任状と譲渡証明書をもらう:いずれも親の実印を押印してもらいます。郵送でやり取りすることも可能です。

2親の印鑑証明書を取得する:親本人が市区町村役場で取得するか、親から委任を受けて代理取得します(自治体により対応が異なります)。

3買取業者に査定を依頼し、売却する:代理人であることを伝え、委任状・譲渡証明書・印鑑証明書を提出して手続きを進めます。

手続き事例:委任状を郵送で用意したBさんのケース

Bさん(40代・大阪府)は、北海道在住の母親名義のミニバン(2016年式)を代理売却しました。委任状のひな形を買取業者からもらい、母親に郵送。母親が実印を押印して返送し、書類の郵送往復に約5日かかりました。印鑑証明書は母親が地元の市役所で取得して同封。Bさんは「車台番号を車検証から正確に転記することが大事だと業者に言われた」とのことで、コピーを取っておいたのが役立ったそうです。合計で査定依頼から入金まで約3週間でした。

買取業者によっては、委任状や譲渡証明書のひな形を用意してくれることもあります。査定の際に確認しておくとスムーズです。

ケース2:親が亡くなった場合の売却方法

親が亡くなっている場合は、車を売却する前に相続手続きと名義変更が必要です。故人名義のままでは売却も廃車もできません。

1相続人を確定する:遺言書があればその内容に従い、なければ相続人全員で遺産分割協議を行って車を誰が相続するか決めます。

2遺産分割協議書を作成する:相続人が複数いる場合は、全員の署名・実印が必要です。ただし、車の査定額が100万円以下の場合は「遺産分割協議成立申立書」で簡略化できます(相続する人の実印だけで済みます)。

3名義変更する:必要書類を持って、運輸支局(普通車)または軽自動車検査協会(軽自動車)で手続きします。

4売却する:名義変更が完了すれば通常の車と同様に売却できます。

相続に伴う名義変更は書類が多くなりますが、買取業者が代行してくれるケースもあります。また、相続の手続きについてより詳しい情報は「故人の車を売却する方法|相続から名義変更・売却までの全手順」で解説しています。

ケース3:親が認知症の場合の売却方法

親が認知症や重度の疾患により判断能力が著しく低下している場合、通常の委任状による代理売却はできません。委任状は本人の意思に基づいて作成されるものであり、判断能力がない状態で作成された委任状は法的に無効となる可能性があります。

この場合、成年後見制度を利用する必要があります。

成年後見制度の利用手順

1家庭裁判所に申立てを行う:本人、配偶者、四親等内の親族などが申立人となれます。

2成年後見人が選任される:審査を経て、家庭裁判所が成年後見人を選任します。一般的に申立てから選任まで1〜2ヶ月程度かかります。

3成年後見人として売却手続きを行う:後見人であることを証明する書類(登記事項証明書等)を用意し、売却を進めます。

なお、成年後見人による車の売却が認められるのは、生活費の捻出など本人の利益のためである場合が原則です。車の種類や価値によっては、後見人の判断だけでは売却できないケースもあり得ます。

成年後見制度の類型と選び方

成年後見制度には、本人の判断能力の程度に応じて3つの類型があります。どの類型に該当するかで後見人の権限が変わるため、車の売却にも影響します。

類型対象となる状態車の売却への対応
後見判断能力がほぼない後見人が代理で売却可能
保佐判断能力が著しく不十分保佐人の同意が必要になる場合あり
補助判断能力が不十分審判で定めた範囲内で補助人が関与

いずれの類型でも、手続きの起点は家庭裁判所への申立てです。本人の判断能力の程度は、医師の診断書をもとに裁判所が判断します。

申立てに必要な書類と費用の目安

成年後見の申立てには、以下の書類と費用がかかるのが一般的です。なお、金額は目安であり、裁判所や地域によって異なる場合があります。

項目費用の目安備考
申立手数料(収入印紙)800円家庭裁判所に納付
登記手数料(収入印紙)2,600円後見登記用
郵便切手数千円程度裁判所により異なる
医師の鑑定費用5〜10万円程度裁判所が鑑定を求めた場合
診断書作成費数千円程度かかりつけ医に依頼
戸籍謄本・住民票等各300円程度複数通必要

上記に加え、申立て手続きを弁護士や司法書士に依頼する場合は、別途報酬が発生します(事務所によって異なるため、事前に見積もりを取ることをおすすめします)。

申立てから売却完了までの期間の目安

成年後見の申立てから車の売却完了まで、一般的に以下のような期間がかかります。

合計すると、最短でも2〜3ヶ月程度を見込んでおく必要があります。車の自動車税は4月1日時点の名義人に課税されるため、売却時期を考慮して早めに動くことが重要です。

任意後見制度との違い

親が「まだ判断能力があるうちに」将来に備えて後見人を決めておきたい場合は、任意後見制度を利用できます。任意後見は公正証書で契約を結び、判断能力が低下した段階で家庭裁判所に「任意後見監督人」の選任を申し立てることで効力が発生します。

既に判断能力が低下している場合は法定後見(上記の3類型)になります。任意後見はあくまで事前の備えですので、現時点で認知症の診断を受けている場合は法定後見を選択することになります。

手続きの詳細は弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。家庭裁判所への申立て書類の作成も、専門家に依頼したほうがスムーズに進む場合が多いです。

必要書類一覧(ケース別)

車売却に必要な書類の全体像についてはハブページでも解説しています。ここでは親名義の車に特有の書類を中心にまとめます。

親が健在で同席できる場合

書類入手先備考
車検証(原本)車内に保管紛失時は運輸支局で再発行
自賠責保険証明書車内に保管-
自動車税納税証明書都道府県税事務所直近の納税分
リサイクル券車内に保管紛失時は自動車リサイクルシステムで確認可
親の印鑑証明書市区町村役場発行から3ヶ月以内
親の実印-印鑑証明書と同じもの

親が健在だが同席できない場合(代理売却)

書類入手先備考
車検証(原本)車内に保管-
自賠責保険証明書車内に保管-
自動車税納税証明書都道府県税事務所-
リサイクル券車内に保管-
委任状(親の実印押印)国土交通省サイト等でDL移転登録の委任内容を記載
譲渡証明書(親の実印押印)国土交通省サイト等でDL車台番号を正確に記載
親の印鑑証明書市区町村役場発行から3ヶ月以内
代理人の身分証明書-運転免許証等

親が亡くなった場合

書類入手先備考
車検証(原本)車内に保管-
故人の戸籍謄本(除籍謄本)市区町村役場死亡が確認できるもの
相続人全員の戸籍謄本市区町村役場故人との関係確認用
遺産分割協議書相続人で作成100万円以下は申立書でOK
新所有者の印鑑証明書市区町村役場発行から3ヶ月以内
新所有者の実印--
車庫証明書警察署新所有者の住所の管轄

軽自動車の場合は、遺産分割協議書や戸籍謄本が原則不要で手続きが簡単です。ただし、地域によって運用が異なる場合があるため、管轄の軽自動車検査協会に事前確認をおすすめします。

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委任状の書き方と入手先

親が健在で代理売却する場合に必要な委任状について、書き方と入手先を解説します。

委任状のひな形の入手先

委任状に記載する内容

記載事項記載内容
受任者(代理人)手続きを行う人の氏名・住所
委任する内容「移転登録」と記載
自動車登録番号または車台番号車検証に記載の番号を正確に転記
委任者(親)親の氏名・住所を記載し、実印を押印
作成日委任状を作成した日付

委任状作成時のポイント

軽自動車の場合

軽自動車は委任状ではなく「申請依頼書」が必要です。申請依頼書は軽自動車検査協会の窓口またはウェブサイトから入手できます。押印は認印で問題ありません(印鑑証明書も不要です)。

注意点・リスク

1. 贈与税が発生する可能性がある

親名義の車を子どもの名義に変更すると、「贈与」とみなされる場合があります。車の時価が年間110万円(贈与税の基礎控除額)を超えると、贈与税の課税対象となる可能性があります。

ただし、以下のケースでは贈与税は原則かかりません。

贈与税についてより詳しくは「車売却時の税金・還付金ガイド」も参照してください。判断に迷う場合は、税理士などの専門家に相談してください。

2. ローンが残っている場合は注意

車検証の「所有者」欄がディーラーやローン会社になっている場合、車の所有権は親ではなくローン会社にあります。この場合、ローンを完済して所有権解除の手続きを行ってからでないと売却できません。具体的な対応はローン契約の内容次第です。契約書を確認のうえ、判断に迷う場合は専門家に相談してください。

3. 自動車保険の確認

親名義の車を日常的に使用している場合、自動車保険の契約内容を確認してください。運転者の範囲や年齢制限の設定によっては、名義人以外が運転した際に保険が適用されないケースもあります。契約内容は保険会社に直接確認することをおすすめします。

4. 親の同意なく売却すると法的トラブルになる

当然のことですが、親の同意なく勝手に車を売却することはできません。委任状の偽造は有印私文書偽造罪にあたる可能性があり、刑事責任を問われる場合があります。必ず親の明確な同意を得てから手続きを進めてください。

親名義の車を高く売る3つのポイント

1. 複数の買取業者に査定を依頼して比較する

1社だけの査定では適正価格かどうか判断できません。一括査定サービスを利用すれば、複数社の査定額を手軽に比較できます。業者間で査定額に差が出ることは珍しくなく、比較することでより高い金額を引き出せます。

2. 名義変更の代行に対応した業者を選ぶ

親名義の車を売る場合、名義変更や書類の準備に手間がかかります。名義変更の手続きを無料で代行してくれる業者を選べば、手間を大幅に減らせます。査定依頼時に「親名義の車である」と伝え、対応可否を確認しましょう。

3. 書類を事前に揃えておく

以下の書類を事前に用意しておくと、査定・売却がスムーズに進みます。

特に整備記録簿は、車の状態を客観的に示す資料として重要です。紛失していても売却は可能ですが、あれば査定額にプラスに働く場合があります。

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今日やることチェックリスト

よくある質問

親名義の車をそのまま売ることはできますか?
親名義のまま子どもが勝手に売却することはできません。ただし、親から委任状と譲渡証明書(いずれも実印押印)をもらえば、代理人として売却手続きを進められます。買取業者によっては必要書類の案内や手続きの代行をしてくれるところもあります。
※ 委任状と譲渡証明書のひな形は委任状の書き方セクションで入手先をまとめています。
親が認知症の場合、車を売ることはできますか?
親が認知症などで判断能力が低下している場合、通常の委任状による代理売却はできません。家庭裁判所に申し立てて成年後見人を選任してもらう必要があります。選任までは一般的に1〜2ヶ月程度かかります。手続きの詳細は弁護士や司法書士などの専門家に相談してください。
※ 申立てに必要な書類・費用の目安は認知症ケースの詳細で解説しています。
親名義の車を売ったら贈与税はかかりますか?
売却代金を親に渡す場合は贈与にあたらないため、贈与税はかかりません。ただし、親名義の車を子どもの名義に変更して子どもが売却代金を受け取る場合、車の時価が年間110万円を超えると贈与税の課税対象になる可能性があります。判断に迷う場合は税理士などの専門家に相談してください。
※ 贈与税を回避する具体的な方法は注意点・リスクセクションで2パターン紹介しています。
委任状はどこで手に入りますか?
委任状のひな形は、国土交通省のウェブサイトや各地の運輸支局のウェブサイトからダウンロードできます。また、買取業者が用意してくれる場合もあるため、査定依頼時に確認するとスムーズです。軽自動車の場合は委任状ではなく「申請依頼書」が必要で、軽自動車検査協会の窓口やウェブサイトで入手できます。
※ 記載内容のポイントや注意点は委任状の書き方セクションを参照してください。
親が亡くなった場合の車の売却はどうすればいいですか?
親が亡くなった場合は相続手続きが必要です。相続人を決め、遺産分割協議書を作成し、名義変更を行ったうえで売却します。査定額が100万円以下の場合は簡易な手続き(遺産分割協議成立申立書)で済むケースもあります。詳しい手順は「故人の車を売却する方法」の記事をご覧ください。
※ 相続ケースの必要書類は必要書類一覧でまとめています。
この記事を書いた人
廃車ナビ編集部|自動車の売却・名義変更・相続手続きに関する情報を、中立的な立場でわかりやすくお届けしています。自動車登録業務の実務経験をもとに、運輸支局での手続きフローや必要書類を定期的に確認・更新しています。
監修
本記事の法務・税務に関する記述は、行政書士の監修のもと作成しています。成年後見制度・贈与税・自動車登録手続きに関する内容は、行政書士法に基づく専門的知見により確認済みです。