最終更新日:2026年8月10日
BYDとテスラを「お得さ」で比較するとき、どの視点で切り取るかによって答えが変わります。まず結論を整理しておきます。
「購入時の出費を抑えたい」「初期コストで判断したい」という方にはBYDが有利です。一方、「5年後に高値で売って次の車の資金にしたい」「充電の利便性を重視する」という方はテスラも有力な選択肢です。以下、各ポイントを詳しく解説します。
| ブランド | 車種 | 新車価格(参考) | ポジション |
|---|---|---|---|
| BYD ドルフィン | コンパクトEV | 363万円〜 | エントリー |
| テスラ モデル3 | セダンEV | 524万円〜 | ミドル |
| BYD アット3 | SUV EV | 440万円〜 | ミドル |
| テスラ モデルY | SUV EV | 599万円〜 | ミドル〜上位 |
同じSUVカテゴリの「BYD アット3 vs テスラ モデルY」、同じミドルカテゴリの「BYD アット3 vs テスラ モデル3」という2軸が最も比較されやすいパターンです。本記事では主にこの2軸で解説します。
新車価格だけで比較するとBYDが圧倒的に安く見えます。しかし日本政府のCEV補助金(クリーンエネルギー自動車補助金)を加味すると、差は縮まります。
| 車種 | 新車価格 | CEV補助金(参考) | 補助金後の実質価格 |
|---|---|---|---|
| BYD ドルフィン | 363万円〜 | 15万円程度 | 348万円〜 |
| BYD アット3 | 440万円〜 | 15万円程度 | 425万円〜 |
| テスラ モデル3 | 524万円〜 | 127万円程度 | 397万円〜 |
| テスラ モデルY | 599万円〜 | 127万円程度 | 472万円〜 |
※補助金額は2026年度の参考値であり、申請条件・予算枠の状況により変動します。購入前に最新情報をご確認ください。
CEV補助金は車両のEV航続距離・充電規格・メーカーの充電インフラ整備への取り組みなど複数の条件で算定されます。テスラはスーパーチャージャーネットワークの整備実績や、充電規格への対応状況が評価されているとされています。BYDは日本市場への投入実績が比較的短いこともあり、補助金額が低めになっています。
購入時には新車価格・補助金に加えて、自動車取得税・自動車重量税・自賠責保険・販売店諸費用・充電設備設置費などが必要です。充電設備(普通充電器の設置)は5〜20万円程度が目安です。EVに限らずこれらの諸費用が総購入額に乗ってくる点はBYD・テスラともに同じです。
EVの維持費は「ガソリン代がない」ことで大幅に下がる部分と、「バッテリー搭載で車両価格が上がる分、保険料が高め」という相反する要素があります。BYDとテスラの年間維持費を比較します。
| 費用項目 | BYD アット3(参考) | テスラ モデルY(参考) |
|---|---|---|
| 自動車税(電気自動車) | 約2.5万円 | 約2.5万円 |
| 電気代(年間走行1万km想定) | 約3〜5万円 | 約3〜5万円 |
| 任意保険(等級・年齢で大差) | 約8〜14万円 | 約10〜17万円 |
| 車検積立(2年に1回の費用を分割) | 約3〜5万円 | 約4〜6万円 |
| 合計目安 | 約17〜27万円 | 約20〜30万円 |
※上記はあくまで参考値です。等級・年齢・走行距離・地域・オプションにより大きく異なります。
自動車税はEVであれば排気量に関係なく一定(概ね2.5万円前後)のため差がほぼありません。最も差が出るのは任意保険です。テスラは車両価格が高く、かつ修理費用が高額になりやすい(部品・板金ともに輸入車特有のコスト)ため、車両保険を付帯した場合の保険料が高くなる傾向があります。
電気代は充電場所によって大きく変わります。自宅の深夜電力プランを利用した場合、1kWhあたり15〜20円程度が目安です。BYD アット3のバッテリー容量は58.56kWh、テスラ モデルY(RWD)は60kWh程度で、バッテリー容量はほぼ同じです。1回満充電の電気代は900〜1,200円程度と大差はありません。
EVはエンジンオイル交換が不要なため、一般的なガソリン車より定期メンテナンス費用が低い傾向があります。BYDとテスラでメンテナンス費用に大きな差はないとされていますが、テスラはOTA更新で自動修正されるソフトウェア起因の不具合が多く、ディーラー入庫が少ない傾向があるという報告もあります。一方BYDは日本市場でのサービス体制がまだ発展途上で、修理受入れに時間がかかるケースがあるため注意が必要です。
BYD vs テスラを語るうえで最も見落とされがちなのがリセールバリューの差です。購入価格でBYDが安くても、5年後の売却額でテスラが大きく上回ることがあります。
| 車種 | 新車価格 | 5年後リセール率の目安 | 5年後売却額の目安 |
|---|---|---|---|
| BYD アット3 | 440万円 | 40〜60%程度 | 176〜264万円程度 |
| テスラ モデルY | 599万円 | 55〜75%程度 | 330〜449万円程度 |
※リセール率は市場状況・走行距離・バッテリー状態・売却タイミングによって大きく変動します。上記はあくまで目安の参考値です。
テスラは世界的に認知度が高く、中古市場での需要が安定しています。国内だけでなく輸出ルートも確立されているため、買い手が多く値崩れしにくい傾向があります。OTA更新による機能追加があることも、古い年式でも比較的評価が維持される要因の一つとされています。
BYDは日本市場での流通歴が短く、中古市場での査定ノウハウを持つ業者がまだ少ない状況です。また世界的に見てもEV価格の下落トレンドがあり、BYD車両の新車価格の値下がりが中古相場に影響を与えているとされています。日本市場でのBYDの中古車需要がさらに高まれば、将来的にリセール率が改善する可能性はあります。
購入費・維持費・売却益を合算した「5年間のトータルコスト(実質負担額)」を試算します。実質負担額が小さいほど、長期的に見て「お得な選択」ということになります。
実質負担額 = 新車価格 − 補助金 − 5年後売却額 + 5年間の維持費合計
| 項目 | BYD アット3 | テスラ モデルY |
|---|---|---|
| 新車価格 | 440万円 | 599万円 |
| CEV補助金(参考) | −15万円 | −127万円 |
| 5年後売却額(中間値) | −220万円 | −390万円 |
| 5年間維持費(中間値) | +110万円 | +125万円 |
| 実質5年間負担額(目安) | 約315万円 | 約207万円 |
※試算はあくまで参考値です。実際の補助金・売却額・維持費は個別の状況により大きく異なります。売却額の中間値はリセール率50%(BYD)・65%(テスラ)で計算。
| 項目 | BYD ドルフィン | テスラ モデル3 |
|---|---|---|
| 新車価格 | 363万円 | 524万円 |
| CEV補助金(参考) | −15万円 | −127万円 |
| 5年後売却額(中間値) | −181万円 | −341万円 |
| 5年間維持費(中間値) | +105万円 | +115万円 |
| 実質5年間負担額(目安) | 約272万円 | 約171万円 |
SUVよりさらに差が拡大します。ドルフィンの車両価格は安いですが、リセールでテスラ モデル3が大きく逆転するシミュレーション結果です。ただし繰り返しになりますが、これはあくまで試算であり売却額は市場環境次第で変わります。
EVを選ぶうえで充電インフラは日常利用に直結する重要なポイントです。BYDとテスラでは充電規格・ネットワーク・利便性に明確な違いがあります。
| 項目 | BYD(アット3・ドルフィン) | テスラ(モデルY・モデル3) |
|---|---|---|
| 急速充電規格 | CHAdeMO / CCS2(Combo2) | 独自コネクタ(CCS2アダプター対応) |
| 普通充電 | AC充電(標準) | AC充電(標準) |
| 独自ネットワーク | なし(公共充電器を利用) | スーパーチャージャー(全国約300箇所) |
テスラが誇るスーパーチャージャーは全国約300箇所に設置されており、高速道路のSA・PA・主要商業施設に集中しています。出力も高く(最大250kW程度)、短時間での充電が可能です。テスラアプリで充電中の混雑状況・残量管理・ルートプランニングが一体で管理できる点も利便性の高さにつながっています。
BYDはCHAdeMO・CCS2の標準規格に対応しているため、全国に設置された公共急速充電器をそのまま利用できます。テスラのような「独自ネットワークに縛られない」という見方もできますが、公共急速充電器は出力が30〜50kW程度のものが多く、スーパーチャージャーと比べると充電時間が長くなる傾向があります。
テスラはOTA(Over-the-Air)更新で機能追加・バグ修正が定期的に行われ、年々完成度が上がっていきます。BYDもOTA更新に対応していますが、日本向けのアップデート頻度・内容はテスラほど活発ではないとされています。スマートフォンアプリによる車両状態確認・充電管理・遠隔操作については、テスラの方が機能が充実しているという評価が多いです。
「いざ売ろう」と思ったときに、査定業者が多いかどうかは実際の売却額に影響します。テスラとBYDでは、現状の査定業者数に明確な差があります。
テスラは輸入EV専門の買取業者が日本国内で複数存在し、一括査定サービスへの参加業者も増えています。バッテリー診断ツールの保有・海外輸出ルートの確保・専門査定員の育成が進んでいるため、複数社に同時依頼することで競争が発生し、高値が出やすい環境があります。
ただし、テスラの値下げが続くと中古市場でも相場が下落しやすいという特性があるため、売り時の判断が重要です。
BYDは2022年に日本でSUV「アット3」を発売し、2026年現在で約4年の販売歴です。査定対応業者は増えているものの、テスラに比べると専門業者の数は少ない状況です。一般の中古車買取チェーンがBYDのバッテリー査定に不慣れなケースもあり、同じ個体でも業者によって査定差が出やすい環境です。